はじめに AI関連技術の特許を検討する際に、まず押さえておきたいのが、「AIを使った発明(AI適用発明)」と「AIそのものの発明(AIコア発明)」の違いです。両者は、主張すべき発明の観点が異なるため、適切な整理が必要になります。 ◆「AIを使った発明」と「AIそのものの発明」の比較 [AIを使った発明(適用発明)] ・概要:既存のAIを業務やシステムに適用する発明。AIは「手段」として位置づけられる。 ・例:診断支援AIを組み込んだ医療支援システム、需要予測AIを活用した在庫管理システム [AIそのものの発明(コア発明)]...
AI関連発明[第3回]:AI関連発明のパターンと国内外における特許例
◆AI関連発明の分類と特徴 AIに関する発明といっても、その形態は多岐にわたります。ここでは、特許実務上よく見られるAI関連発明のパターンを紹介します。 AIアルゴリズム発明 AIの学習・推論方法自体に関する発明です。例えば、独自のニューラルネット構造や、最適化手法などがあげられます。 AI応用発明(業務系) 既存のAIを特定業務に応用した発明です。例えば、物流の需要予測AIや、医療診断支援AIなどがあげられます。 AI統合発明(システム系)...
AI関連発明[第2回]:AIと特許の関係 ― そもそも何が守れるのか?
◆AI技術は特許の対象になるのか? 「AI技術は特許で守れるのか?」という質問をよく耳にします。答えは、「一部は守れるが、一部は守れない」です。 AIに関する発明が特許として認められるには、特許法上の要件を満たす必要があります。単なるアイデアや数式的な手法ではなく、技術的な課題を解決する手段として構成された場合に特許化の可能性があります。...
AI関連発明[第1回]:なぜ今、AI技術の特許出願が重要なのか?
◆「AI活用」はもはや特別ではない時代へ 近年、生成AIや機械学習などの技術が爆発的に普及し、「AIを活用した業務改善」や「AIを組み込んだサービス開発」は、大企業のみならず中小企業にとっても現実的な選択肢となりました。 しかし、「AIを活用したからといって、すぐに差別化できる時代」は終わりつつあります。同業他社も同様にAIを使い始め、すぐに模倣可能な機能やサービスでは競争優位は保てません。 では、どうすればAIを活用した技術やサービスを真に自社の資産にできるのか? その答えのひとつが、「AI関連特許の取得」です。...